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UNIVER-CITY OHSHIMA 阪本 洋未 さんインタビュー

- UNIVER-CITY OHSHIMA(UC O)さんとして、どのような活動に取り組んでいらっしゃいますか?

2014年からWE LOVE OHSHIMAシリーズという各種企画の主催や共催などをさせていただいています。2013年の10月に起きた土石流災害で、本当に生まれ育った大島、大好きだった三原山が崩れたっていうことが心に衝撃を受けて、何かわたし達にできることはないかということで始めさせていただきました。東京都大島町に主たる事務所を置くNPO 000ピーエーエフや、UC Oも会員であるGUの三者で共創させていただいています。

- WE LOVE OHSHIMAシリーズというと具体的にどのような企画をされていらっしゃるのですか?

シンポジウムやフォーラム、上映会などをさせていただいています。「OHSHIMA」は、大島という島のことなんですが、地球にとってのへそみたいな役どころとしてのOHSHIMAという捉え方をしています。「大島が変われば東京が変わり、東京が変われば日本が変わり、日本が変われば世界が変わる」くらいの、ひとつのヒナ型としてのOHSHIMA。地球のへそとしてのOHSHIMAを意識して、何かを押し付けたり、力で押していくのではなくて、なんか「これって大事だよね」っていうことをみんなが思い出すきっかけになっていくような企画を一つずつ手づくりしているような感じがしています。

- みんなが大切なものを思い出していくような。

はい、それをみんなが共有していく。

- UC OさんにとってのGUのミリョクは?

プラットフォーム的な役割であることですね。UC Oは基本的にはローカルな、地元に根ざした団体ですが、GUがあることで、ひとつの場にいながら、いろんな地で活動・活躍されている方たちと繋がることができる、新しい考え方へのきっかけになっています。あと、励みにもなっています。例えば、UC Oの活動をしていると、応援してくださる方もいれば、なんかちょっと変わったことしてるのねって遠くなる方もいて、その他にも凹むようなこともある中で、いろんな地で尽力されている方たちがいるというのは励みになります。

- そうなんですね。

あとは、GUは、既存の事業体とは違うなというのがあって。普通の既存の組織というのは、私が多いなと感じるのはピラミッド型で、トップダウンで上から命令が下されていくっていうことがすごくあるなって。下はちょっと理不尽だなって思ってもそれに従わないとその組織にいられない、みたいな。だから自分の声をなくしていく、もしくは押し下げてしまうということがよくあると思うのですが、GUの場合は、全くそうではないんです。

- どういう風にですか?

会員になった最初の頃はちょっと理解不能だったのですが、12年学んできて、どちらかというと球体みたいなイメージなんですけど、リーダーシップで運営されているんではないんです。コアで運営している方たちと、会員さん達が、相互に行き来するコミュニケーションができる。どっちが上とか下とかじゃなくて、お互いに大事にしあっているというのがすごく大きなミリョクだと思います。ありのままでいられるという、そういう空間だと思います。

- GUで学んでいることとか、学べたことというのはどういったことでしょうか。

GUの方達ってみんな、無償でやっているじゃないですか。それもクオリティを大切にする共同創造なんです。コアの運営も含めて。ボランティアって、今までの私のイメージだとちょっと違ったんですよ。用意されたことをするという感じで、仕事ほどがんばらなくても良いような。だからGUでは、本当に心から協力し合うということを学んでいる気がします。

- 無償でもライフワークとして質を伴った取り組みをしていこうというのが、GUの一つの基本姿勢でもありますよね。

WE LOVE OHSHIMAで主催とかさせていただいている最初の頃は、やっぱり大島のことなのに、島外からわざわざGUの会員さんたちが手伝いに来てくれるなんて申し訳ないみたいな気持ちがあったんですけど、やってるうちにだんだん、あ、協力するってそういうことなのかもなって見せていただいたというか。協力し合える場。どっちが協力してもらってるから弱い立場とか、協力してあげてるとかそういうことじゃなくて、お互いに真心で一緒に創っていくことが本当の協力なんだなって。本当に協力するってことを学ばせてもらったのはGUだなって思います。あとは、年齢の差がない。何歳になっても学び続ける姿勢って本当に素敵だなぁって思うし、年下だからとか子どもだからということでその方の意見をないがしろには絶対にしないっていう前提がありますよね。そういう理念を掲げていたとしても、結局その場で何かが起きている時に、そうじゃない状況って今までたくさん見てきたというか。理想と現実のギャップがあるって、私も含め、いろんな大人が持っているところではあると思うのですけど、綺麗事じゃなく、本当に真摯に向き合えるっていう安心感を学んでいます。日々、年齢を重ねるごとに謙虚でいるってすごいことだなって、学ばせてもらっています。

- そうですよね。では、GUの学びは普段の働き方にどのように活かされていますか?

仕事だけじゃなくて、日常のいろんなことにつながってくると思います。私は伊豆大島で家族と共に塩をつくる仕事をさせていただいているんですけど、やっぱり家族だからこそ親と子という力関係だったり、そういうものが前提としてありました。でも一緒に仕事をするというのは、一方的に力がかかるということではないということをGUで学ばせてもらったんです。自らの言葉を出す勇気というか、「親に言われたからこう」というような、子どもの意識になってしまう私がいたと思うんですけど、私も私の意見を伝えて、お互いに腑に落ちたところというか、解決点だったり方向性だったりを、一つずつ決めていくことが、すごく普段の生活や仕事に生かされていることだと思います。

- あなたにとって楽しいことはなんですか。

GUとかUC Oでの仕事というか動きをさせていただくのってすごく楽しくて、家族には、プライベートな時間までよくやるね、みたいな、ちょっと信じられないって感じで言われたりするんですけど、私はむしろこれがあるから生きてる歓びを感じてるなって思います。ただ遊んで楽しいっていうんじゃなくて、本当に深いところからの楽しさ、生きる歓びを感じます。ありがたいなと思っています。

- どのようなことを慈しんでいますか?

息子が一人いるんですが、今ちょうど思春期です。身の回りにいる子はみんなわたしの子、というくらいどの子も本当に大切に接しさせてもらっていますけど、やっぱり一番身近な子、という息子との時間は本当に慈しんでいます。あとはよく山に行ったり海に行ったりするんですけど、ただ静かに過ごす時間、というのもすごく慈しんでいます。そこで溶岩の上に座ったり、聞こえてくる鳥の声だったり風の音とか波の音とか、自然ですね。

- 自然がすぐ側にあるというところの醍醐味ですね。では最後の質問になりますが、あなたのライフワークはなんですか?

わたしのキーワードは「Heart for Future Generation」なんです。未来世代への想い。WE LOVE OHSHIMAも、何世代も先へ何を残していきたいのかっていうことを意識していたので、そことも繋がることだと思うんですけど。未来世代が本当にハツラツと、伸びやかに健やかに育まれていくっていうことを、見届けるというか。見るってすごく大事なエネルギーだと思うんですよね。目をつぶったり、押し付けたりするのでもなくて、ただただその子が、伸びやかに健やかに育っていく様を見続ける。まなざしを送り続けるっていうこと。それは一人でもできる、たった今からでもできるライフワークだと思っています。

- 子どもたちへのまなざし、ありがとうございます。